アイドルマスター SideM

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『アイドルマスター SideM』坂上P×鳥羽P対談インタビュー

2017年10月よりTVアニメが放送されることがついに発表された『アイドルマスター SideM』。7月15日にニコファーレで行われた「THE IDOLM@STER SideM 3rd Anniversary ST@RTING SIGNAL!!! 2017」では、様々な新発表が行なわれました。

TVアニメ、3rd LIVE、そして2017年配信予定の新作アプリ『アイドルマスターSideM LIVE ON ST@GE!』はいったいどんな内容とコンセプトになるのでしょうか。このタイミングだからこそ聞ける話を、バンダイナムコエンターテインメントの坂上陽三総合プロデューサー、アニプレックスの鳥羽洋典プロデューサーに伺いました。

■構想段階では『アイドルマスター』の名をつけるかどうかもすごく悩んだ『SideM』

──TVアニメ『アイドルマスター』『アイドルマスター シンデレラガールズ』に続き、『アイドルマスター SideM』でもバンダイナムコエンターテインメントとアニプレックスがタッグを組むことになりました。まずは経緯を教えて下さい。

鳥羽洋典プロデューサー (以下、鳥羽) 最初のお話は坂上さんから頂いて、僕たちも『アイドルマスター SideM』のアニメはぜひやらせて頂きたいと思いました。ただ、同じように新規に立ち上げられた『アイドルマスター シンデレラガールズ』の場合はゲームにも765(ナムコ)プロダクションのアイドルが参加していましたし、女性アイドルの作品として今までの流れとのつながりを感じていました。
しかし『アイドルマスター SideM』に関しては、それとはちょっと出発点が違うことと、作品の見せ方や展開、そして新たなプロデューサーの皆さんの層も少し変わってきていますから、引き続き僕たちがやらせてもらうのが一番いいのか、そして今までと同じやり方でやっていいのか、といったことは相当考えました。でも逆に、765プロ、シンデレラガールズと続けてきたからこそ、新しいことをやってみたいという気持ちもありました。

坂上陽三総合プロデューサー(以下、坂上) 僕らからすると、今まで『アイドルマスター』を支えてくれているパートナーであるアニプレックスさんにお願いしたいのは自然な流れでした。もちろん、今までと少し違いはあるので、作り方やスタッフにも再考が必要でした。今のはね、315(さいこー ※1)つながりということで(笑)。

鳥羽 最高のスタッフを再考しました、315プロだけに(笑)。

※1) 315:『アイドルマスター SideM』に登場する架空の芸能事務所が「315プロダクション」という名称。その他、961(クロイ)プロダクション、876(バンナム)プロダクションも存在する。

坂上 765プロの『アイドルマスター』がゲームとしてはかなりできあがった状態でアニメ化に至ったのに比べると、『アイドルマスター SideM』はまだ若い作品です。だからアニメと一緒にコンテンツを作り上げていくイメージでいます。当然アニメ化でまだ定まっていない設定をどうするか、どう解釈するかという問題は出てくるのですが。そこを作りこんでいく作業の中で、クリエイター同士が混ざり合うことで何かが生まれるんじゃないかという期待を持っています。

鳥羽 僕が面白いと思ったのはそこなんですよね。バンダイナムコのスタッフさんから「キャストの皆がイベントやライブをすごく頑張っている」と聞いて、最初にリリースイベントを見に行ったんです。本当に小さな会場でパフォーマンスもまだ荒削りで、あ、昔の『アイドルマスター』のイベントってこんな感じだったのかなって思ったんです。

坂上 そうなんですよ、そういう小さいところから始められたのは良かったですよね。

鳥羽 僕は『アイドルマスター』の最初期に中村繪里子さん(天海春香 役)や今井麻美さん(如月千早 役)たちが頑張っていた頃のイベントを直接見てはいないのですが、本人達から話では聞いていました。それは、きっとこういう感じがあったんだろうなと思ったんです。だから今回、こういう作品の立ち上げの時期から関わっていけるのは面白いなと思いました。

──『アイドルマスター SideM』はアイドルマスターとして新しい流れであると同時に、Jupiter(ジュピター ※2)はXbox 360用ゲーム『THE IDOLM@STER 2(アイドルマスター2)』(2011年)で初登場した、765プロの歴史につながるユニットでもあります。

坂上 それはすごく感慨深いですね。でも『アイドルマスター SideM』を最初に構想した時は、そもそも『アイドルマスター』というタイトルをつけるかどうかも迷ったぐらいなんです。だから企画立ち上げ時点では、Jupiterを登場させることありきではありませんでした。彼らを出そうというのは僕発信ではなくてですね、スタッフの中から自然発生的にJupiterを出したい、彼らの物語をきっちり描きたいという声が上がってきたんです。こういう形でコンテンツが広がって、過去の作品とつながるようなことがあるんだなと思いました。

鳥羽 Jupiterの存在というのは僕にとっても大きかったです。『アイドルマスター SideM』というゲームとキャストたちの関係に、僕らがアニメーションの作り手として関わることで何ができるのか、何をすべきなのかということを考えている時に、『アイドルマスター SideM』のファーストライブがあったんです。

※2) Jupiter:天ヶ瀬冬馬(CV: 寺島拓篤)、伊集院北斗(CV: 神原大地)、御手洗翔太(CV: 松岡禎丞)の3人組男性アイドルユニット。

──2015年12月に舞浜アンフィシアターで行われた「THE IDOLM@STER SideM 1st STAGE~ST@RTING!~」ですね。

鳥羽 ステージでのキャスト達のパフォーマンスが、初めの頃よりずっと上手くなって成長した姿を実感しました。また、ここに至るまでのレッスンも何度か拝見していたので、これをアニメで再現できたら面白くなるぞと思いました。更に、この日のJupiterのステージと、トークでのメンバー3人の想いのこもった言葉と涙を見た時に、「アニメをやろう!」 これは自分たちにしかできないことだと思ったんです。765プロのアニメ『アイドルマスター』にもJupiterは登場したんですが、彼らの扱いについては当時、錦織敦史監督と相当話しあって気を使いました。
でも扱いが難しいキャラクターだからこそ、ちゃんと出さないといけない。そして、彼らが961プロと決別するまでを描いたんです。そして、今作でその続きを描けるかもしれないとなったら、それは僕らが引き受けないといけないと思ったんです。
961プロをやめた彼らが315プロで新たに頑張っている姿を地に足がついた形で描けるのは、今までのアニメを制作してきたスタッフ達だと思うし、765プロからのプロデューサーさんも、『アイドルマスター SideM』からのプロデューサーさんも共に満足してもらうアニメを作るのが自分たちの役割だと感じ、今回やらせてもらうことになりました。そういう世界や物語のつなげ方はアニメだからできることだと思い、アイドルマスターワールドが更に広がるように、いろいろ考えています。

■アイドルになる過程、そして成長――アニメで描かれる物語

──TVアニメ『アイドルマスター SideM』では監督を原田孝宏さんと黒木美幸さん、シリーズ構成を綾奈ゆにこさんと菅原雪絵さんが担当しています。

鳥羽 監督が2人であることには意図があって、『アイドルマスター SideM』は二面構成だと思っているんです。それは先ほど話した、今までの『アイドルマスター』の世界につながる作品としての面と、男性アイドルのタイトルとしての表現の面です。それをひとりの方に委ねるのは、かなり負担を掛けてしまいますし、両方を得意なこととしてカバーするのも難しいので、『アイドルマスター』的な面を原田監督、もう一つの面を黒木監督にお願いしています。今回は今までのアイドルマスターではやらないようにしていた演出にも挑戦していて、そちらは黒木監督の色が強いです。どんな演出なのかは、放送を楽しみにお待ち頂ければと(笑)。

――シリーズ構成2人体制というのも同じような意図でしょうか。

鳥羽 シリーズ構成に関しては単純に作業分担の面もあるのですが、綾奈(ゆにこ)さんはアニメ『シンデレラガールズ』にも参加して『アイドルマスター』というものをよくわかってくださっていて、そこに新たな一面を加えるスタッフとして菅原(雪絵)さんに加わって頂く。そのあたりの意図は監督の分担と同じ感じです。

――今回のアニメ化にあたってのコンセプトを教えてください。

鳥羽 リアルにキャスト達が活動してきた様子をファーストライブまで見てきましたので、それをモチーフの1つとして今回のアニメに落としこんでみたいと思っています。今回は相当取材していて、実際にステージやレッスン中の様子などをかなり記録しているんです。たとえばレッスン中にキャストたちが楽しくたわむれている姿や、彼らが一生懸命にやってきた歌と振り付け、そして成功や失敗をキャラクター描写に活かせれば面白いかも、と思ってます。それもあって、今回のアニメではファーストライブと同様にDRAMATIC STARS、Beit、S.E.M 、High×Joker、W、Jupiterの6つのユニットをスターティングメンバーとして描くことにしました。
もちろん、これはアニメを描く上でのモチーフの1つであって、それが全てではありません。必ずしもキャラクター=キャストではありませんし、アニメならではのキャラクター描写やストーリー展開も組み込んでいます。あくまでも、数あるコンセプトの1つであって、今作における新たなチャレンジという位置づけだと思って下さい。
なので、今回のPVでお見せしているように、登場するアイドルも上記6ユニットだけでなく、他にもちゃんと出てきますので、ご安心下さい。

――物語で描く範囲にはアイドルになる「前」は含まれるのでしょうか。

鳥羽 成長していくアイドルを描くので、前職からアイドルに転身していく過程を描くこともありますし、そこから成長して駆け上っていく姿も描きます。それは、彼らのスタートラインからはじまる物語であり、315プロのスタートラインでもあります。

――『シンデレラガールズ』ではシンデレラプロジェクト以外にもたくさんのアイドルが登場しました。『アイドルマスター SideM』でも他のユニットのアイドルの出演はあるのでしょうか。

鳥羽 先ほども申し上げましたが、それはもちろんありますよ。どのユニット、どのアイドルにも「担当プロデューサー」の方はいらっしゃいますし、その期待にも応えないといけないと思っています。アニメを見ていたら、おっと思ってもらえる瞬間は必ずあると思いますので楽しみにして下さい。

★プロデューサー対談の全文はアニメイトタイムズにて!
http://www.animatetimes.com/

[インタビュー・文/中里キリ]